訪問販売「火災保険でリフォーム」は高確率でトラブルに

火災保険

先日「火災保険でリフォームしませんか」というチラシが、自宅の郵便受けに入っていました。

ちょうど台風の後だったので、この手の業者にとっては書き入れ時なのかもしれません。

結論から言うと、『火災保険でリフォーム』するという提案からトラブルとなるケースが増えています。

特に、訪問による勧誘がトラブル全体の80%を占めています。

なぜ、トラブルとなってしまうのでしょうか?

典型的な手口、トラブルに遭った場合の対処法を解説します。

台風により受けた家屋の被害は火災保険の対象

まず最初に知っておいてもらいたいのが『台風被害でも火災保険の対象となる』ということです。

建物を目的とした火災保険は、火事に限らず、台風などの風災や大雪による災害、落雷などの場合でも保険金の支払いの対象となります。

特に多い被害は「風災」

台風や竜巻などの強風で屋根瓦が飛んだり、雨樋が壊れたりした場合は、保険金の支払い対象となります。

また、大雪で屋根が傷んだ場合も対象となります。

雪国ではない関東地方に記録的な大雪が積もったときも、保険会社は大忙しでした。

たまにですが、雷が落ちて屋根に穴が開いた、過電流で電気設備が損傷した場合も対象となります。

落雷による過電流の場合、固定されているエアコンは建物の一部として建物の保険でカバーできますが、建物に固定されていない他の電化製品は家財を目的とした火災保険に、加入しなければ対象とはなりません。

おりた保険金はもちろん修理費が原則

火災保険で下りる金額は、修理費が原則です。屋根瓦の修理費、雨樋の取り付け費用、電気配線の修理費などです。

ここで注意しなければ、ならないのが、一部保険の場合です。

一部保険というのは、建物の価格より低い価格で保険契約をした場合です。

例えば、2,000万円の価値のある建物に1,000万円の保険しかつけていない場合、修理費が200万円で契約保険金額1000万円以下の場合でも、契約内容にもよりますが、50%〜62.5%。

つまり保険金が、100万円〜125万円しか下りない場合があります。

ご自身の加入している火災保険が、一部保険かどうかは保険会社の窓口や担当者に、確認してみてください。

『火災保険でリフォーム』には要注意!

火災保険で下りるのは、損害に遭った箇所の修理費が対象となります。

保険会社が妥当な修理費と認定すると、修理費の20%を臨時費用として上乗せして、保険金が支払われる場合があります。

屋根の修理費用を安く抑えて、余った費用をリフォーム費用にまわすのも可能ですが、リフォームの規模にもよりますが、常識的に考えてリフォームは余った費用でできる額ではありません。

また、屋根を修理せずに下りた保険金全額をリフォーム費用に回すとしたら、屋根を修理するのを前提として保険金が下りた訳ですから、全く修理しない場合は詐欺とみなされてもおかしくありません。

そして、修繕せずに、次にきた台風で大きな被害に遭っても、保険金が下りない場合もあります。

修理をするのがあくまでも大前提です。

ですから、火災保険で『リフォーム』という事自体が、そもそもかなり難しい事です。

たとえば、『火災保険で屋根を修理する』という業者であれば、ある程度は信頼できますが、いきなり『火災保険でリフォーム』と言ってくる業者はトラブルとなる可能性があります。

保険金トラブルの事例

では、具体的にどのようにしてトラブルとなるのでしょうか?

注意すべき例を3つ、紹介します。

『自己負担ゼロ』を強調する場合

そもそも、火災保険でリフォームといってくること自体が怪しいですが、「火災保険で屋根を修理したことにしてリフォーム費用に当てれば自己負担はゼロですよ」と強調する場合です。

申請後に、保険金が下りなかった場合は、リフォーム費用を全額負担しなければなりません。

強引な契約

火災保険金のトラブルに巻き込まれる人の平均年齢は63.6歳で、「60歳以上の高齢者がトラブル全体の7割近く」という調査結果があります。

その高齢者をターゲットに、強引にリフォームの契約をすすめて、後から断られると、

「キャンセル料50%よこせ」
「すでに調査の手配をしているんだ。弁護士に相談して損害賠償請求してやる」

と、弱い立場のお年寄りを相手に言葉の暴力で脅してきます。

いくら急かされても、すぐには契約しないように気をつけなければいけません。

嘘の理由で保険請求

屋根が損傷していても、経年劣化といって古くなった屋根は保険金支払いの対象とはなりません。

「古くなったとことも、先日の台風のせいにして保険金を請求しちゃいましょう!」と、言ってくる業者は要注意です。

詐欺に遭ったときの対処法

まず注意しなければいけないのが、金を払えと言われても、絶対に「ウン」と言わないことです。

「ウン」と言った途端、『追認』とみなされ、たとえ詐欺の契約でも、さかのぼって最初から契約を認めたことになります。

また、「ちょっと金を貸してくれ。請求額と相殺するから」と言われてお金を渡しても、契約金の一部を支払ったとされ、追認とみなされます。

払えと言われて、ウンと言わない、一円でも金を渡さないことが重要です。

このようなトラブルに巻き込まれた時、修理サービスの契約前に保険会社または代理店に相談してください。

逆に上記にあたらない業者であれば、信用できる業者の可能性がありますので、納得いくまでお話しを聞いてみても良いと思います。

相談窓口

もし、今回紹介したようなトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずはこちらの窓口でご相談ください。

・日本損害保険協会
そんぽADRセンター(損害保険相談・紛争解決サポートセンター)
損害保険に関する会員各社相談窓口

・国民生活センター
通報/相談窓口・紛争解決

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